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Velanora Memorial Registry

日本の相続・遺言・相続税:期限と手続きの全体像

このページは、日本での「相続(遺産の引き継ぎ)」に関する主要な法的手続きを、実務の順番で整理したガイドです。 遺言書の扱い、相続人の確定、遺産分割、銀行口座・不動産の名義変更、相続放棄、相続税や準確定申告など、期限があるものを中心に、迷いやすいポイントを分かりやすくまとめます。

まず押さえる結論(日本)

相続は「相続人(だれが引き継ぐか)」と「遺産(何があるか)」を確定し、 借金や税金などの負担を整理した上で、遺産分割(どう分けるか)を決め、名義を移す流れです。 特に相続放棄(原則3か月)準確定申告(原則4か月)相続税申告(原則10か月)は、早めに見通しを立てることが重要です。

葬儀の準備や当面の手続きは、別ページで扱います。 亡くなった後にまずすること →

重要な期限(日本)

「間に合わなかった」が一番つらいので、期限だけ先に押さえます(原則)。

  • 相続放棄:原則「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」
  • 準確定申告:原則「死亡を知った日の翌日から4か月以内」
  • 相続税の申告・納付:原則「死亡を知った日の翌日から10か月以内」
  • 遺言書(自筆証書)の検認:家庭裁判所で手続き(開封は原則、裁判所で)
  • 名義変更(銀行・証券・不動産等):機関ごとの手続き(早めに着手すると全体が楽になります)

期限や要件は事情(海外資産、事業、相続人の状況、争い等)で変動することがあります。迷いがある場合は早めに専門家へ。

相続の基本用語

日本の相続でよく出てくる言葉を、短く整理します。

  • 相続:亡くなった方(被相続人)の財産・負債を、相続人が引き継ぐこと
  • 被相続人:亡くなった方
  • 相続人:相続を受ける権利がある人(配偶者+子、子がいなければ直系尊属、など)
  • 遺産:財産(預貯金、不動産、有価証券等)と負債(借金等)を含めたもの
  • 遺産分割:相続人同士で遺産の分け方を決めること(遺産分割協議)
  • 遺言:亡くなった方が生前に残した意思表示(形式・効力に注意)
  • 相続放棄:相続を一切引き継がない選択(負債も含めて引き継がない)
  • 限定承認:負債がどれだけあるか不明なとき、一定範囲で責任を限定する手続き(要件・共同申立など難易度高め)

相続人を確定する(ここが土台)

相続は「誰が相続人か」が確定しないと、ほとんどの名義変更が進みません。

日本では、相続人の確定のために戸籍をたどる作業が必要になります。 金融機関・不動産・相続税いずれも、相続関係を示す資料が求められることが多いです。

実務の流れ(目安)

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)を集める
  • 相続人側の戸籍(現在戸籍)を集める
  • 相続関係説明図(家族関係の図)を作る
  • 相続人全員を確定し、連絡先を把握する(後の協議に必須)

戸籍の収集は時間がかかることがあります。先に動くほど、全体の遅延が減ります。

遺言書がある場合(開封・検認・種類)

遺言は強力ですが、形式と手続きが重要です。焦って開封しないのが安全です。

遺言書の主な種類

  • 公正証書遺言:公証役場で作成。形式面でのトラブルが少なく、実務が進めやすい
  • 自筆証書遺言:本人が書いた遺言。家庭裁判所の検認が必要になることが多い(例外あり)
  • 秘密証書遺言:利用は比較的少なめ。形式要件に注意

安全な行動

  • 自筆の遺言らしきものを見つけても、開封を急がない(手続き上のリスクがあるため)
  • 公正証書遺言の有無を確認(公証役場での確認手段がある場合も)
  • 内容が明確でも、相続人・資産・税の整理が必要(遺言=すべて完了ではない)

遺産(財産・負債)を把握する

相続放棄を検討するなら、早期に「負債の有無」を確認するのが重要です。

財産の例

  • 預貯金、定期預金、ネット銀行口座
  • 証券口座(株式・投資信託)
  • 不動産(土地・建物)
  • 生命保険金(契約形態によって扱いが異なることがあります)
  • 退職金、未支給年金、還付金
  • 車、貴金属、コレクション等

負債の例

  • 住宅ローン、カードローン、消費者金融、クレジットカード残高
  • 連帯保証の有無(保証人になっていたか)
  • 税金・社会保険料の未納
  • 未払いの医療費・介護費

ここが不明確だと、相続放棄(3か月)判断が難しくなります。手元情報が少ない場合は、専門家に「調査の段取り」だけでも相談すると安全です。

銀行口座の凍結と対応(日本の実務)

多くの場合、死亡の連絡後に口座は凍結され、原則として相続手続きが必要になります。

金融機関は、相続人の確定や遺産分割の合意(または遺言)を確認してから、払戻しや名義変更を進めます。 そのため、戸籍収集相続関係の整理が最初のボトルネックになります。

早めにやると効くこと

  • 取引銀行をリスト化(通帳・キャッシュカード・郵便物・スマホの銀行アプリ等)
  • 各銀行の「相続センター」窓口の手続き要件を確認
  • 相続人全員の連絡先・本人確認書類の準備
  • 遺言があるなら、その形式に応じた必要書類を確認

葬儀費用などの支払いは、銀行の運用(費用の扱い)や状況で対応が変わることがあります。困ったら早めに銀行に「相続手続きの一般運用」を確認してください。

不動産の名義変更(相続登記)

不動産がある相続は、書類が多く時間がかかりがちです。早めに全体設計を。

不動産(家・土地)が遺産に含まれる場合、相続人の確定、遺産分割の決定(または遺言)に基づいて、 名義(登記)の変更を進めます。司法書士へ依頼することが多い領域です。

実務でよく必要になるもの(例)

  • 戸籍一式(被相続人の出生〜死亡、相続人側の戸籍)
  • 遺産分割協議書(相続人全員の合意)または遺言
  • 固定資産税の納税通知書、登記事項証明書など物件情報
  • 相続人全員の本人確認資料、印鑑証明書等(案件により)

借金がある(かもしれない)とき:相続放棄と注意点

負債が不明なら、先に「調査→判断」を最短で回すのが安全です。

相続は「財産だけ」ではなく「負債」も引き継ぐ可能性があります。負債が多い場合、相続放棄を検討します。 相続放棄は期限(原則3か月)があるため、早期に負債の有無を確認することが重要です。

よくある落とし穴

  • 相続放棄を考えているのに、遺産を処分・使用してしまい「承認した」と見なされるリスク
  • 借金が後から見つかる(保証・未払い・クレジット等)
  • 相続人間で情報が分散し、期限だけ迫る

争い・負債・保証が絡む場合は、早めに専門家へ。動き方ひとつで選択肢が狭まることがあります。

遺産分割協議:合意の作り方と書類

相続人が複数いる場合、実務の核心は「合意」と「書類の整合性」です。

遺産分割で決めること(例)

  • 預貯金を誰が取得するか(複数口座がある場合は口座ごと)
  • 不動産を誰が取得するか(売却して分けるのか、誰かが取得して代償金を払うのか)
  • 証券・車・貴金属などの扱い
  • 葬儀費用等の立替精算をどう扱うか(相続人間の調整事項)

揉めないためのコツ

  • 先に「全体の資産一覧(見える化)」を作る
  • 結論を急がず、期限があるもの(放棄・税)だけ先に整理する
  • 連絡窓口を1人にし、情報の混線を防ぐ
  • 文章は短く・明確に(曖昧な表現は後でトラブルの元)

税金:準確定申告(原則4か月)

亡くなった方に確定申告が必要だった場合、相続人が行う手続きです。

亡くなった方が事業・不動産収入・年金や給与の状況などで確定申告をしていた(または必要だった)場合、 相続人が期限内に「準確定申告」を行うことがあります。

  • 対象になるかは収入状況で変わります(年金・給与・事業など)
  • 期限が短い(原則4か月)ので、該当しそうなら早めに確認
  • 必要書類(源泉徴収票、経費資料、医療費、控除資料など)を集める

税金:相続税(概要・原則10か月)

相続税は、一定規模以上の相続で問題になります。該当しそうなら早めに見積もりを。

相続税が必要かどうかは、遺産規模・相続人の数・控除や特例の適用などで変わります。 申告・納付期限(原則10か月)までに、遺産の評価と分割方針を固める必要が出ることがあります。

相続税で早期に見たいポイント

  • 不動産があるか(評価・特例の検討が必要になりやすい)
  • 預貯金・有価証券・生命保険などの規模感
  • 生前贈与の履歴(時期や内容によって影響が出ることがあります)
  • 相続人が複数で、分割に時間がかかりそうか

相続税は個別性が高い領域です。該当しそうなら税理士に早めに相談すると、期限のプレッシャーが大幅に減ります。

専門家が必要になりやすいケース(日本)

「相談するほどでは…」と思うほど、期限や争いの芽があるなら早めが安全です。

  • 不動産が複数・共有・評価が難しい(相続登記+税の絡み)
  • 相続税が発生しそう(10か月)
  • 借金・保証・未払いがあり、相続放棄/限定承認を検討している(3か月)
  • 相続人が多い/連絡が取りづらい/疎遠
  • 遺言の有効性や解釈に疑義がある
  • 争い(またはその兆候)がある
  • 海外資産・海外居住の相続人がいる
  • 事業・法人・持分が絡む

デジタル遺産:スマホ・写真・サブスク・暗号資産

「残す → 決める」の順番が安全です。最初に消さない。

  • スマホ・メールは重要(本人確認、2段階認証、各種ログインの鍵になりがち)
  • 写真・動画の保存場所(端末、クラウド、外付け)を把握する
  • サブスク・定期課金(動画、音楽、通販、アプリ等)をリスト化して停止
  • ポイント・マイル・電子マネーは規約で扱いが変わる(相続不可のものも)
  • 暗号資産(仮想通貨)は「ウォレット・取引所・復旧情報」がないと回収不能になり得る

デジタル領域は規約が強く、家族でもアクセスできないことがあります。生前からの整理が最も効果的です。

よくある質問(日本)

相続で一番最初に確認すべき期限は?

迷ったらまず相続放棄(原則3か月)の可能性があるかを確認してください。 借金や保証が疑われる場合は、調査→判断を最短で回すのが安全です。次に、準確定申告(原則4か月)と相続税(原則10か月)です。

銀行口座は必ず凍結されますか?

多くの金融機関では、死亡の連絡後に口座が凍結され、相続手続きが必要になります。 実務は金融機関の運用と事情で変わるため、取引先ごとに「相続手続きの必要書類・流れ」を確認するのが確実です。

遺言があれば、遺産分割協議は不要ですか?

遺言の内容が明確で、形式的にも有効で、実務上の要件を満たす場合は、遺産分割協議を簡素化できることがあります。 ただし、資産の把握・名義変更・税の整理は必要ですし、遺言の種類によっては手続き(検認など)が関わります。

借金があるかもしれないのに、何から手を付ければいい?

まずは「負債の可能性の洗い出し(ローン、カード、保証、未払い)」を最優先にし、 相続放棄(原則3か月)判断の材料を集めます。遺産の処分や使い込みに見える行動はリスクになることがあるので、慎重に。 不安が強い場合は早めに専門家へ。